私の考え

活力ある元気な日本再生 -不動産市場の活性化は経済成長の糧-(全文)(2012年11月28日)

活力ある元気な日本再生

【インタビュー】
政治家は未来の日本を描くべき
元法務大臣・衆議院議員 保岡興治

 消費税増税が確定的となったが、日本経済へのマイナスの影響は大きく、批判は絶えない。とくに不動産取引への影響は甚大だ。そこで、元法務大臣の保岡興治氏に不動産と日本経済再生、税のあり方についてお話を伺った。(聞き手・広報委員会)

不動産市場の活性化は経済成長の糧

―日本経済の再生のためには不動産市場の活性化が不可欠ですが、そのための課題は何でしょうか。
 バブル崩壊後、平成に入ってから20数年、ずっと不況が続き、GDPも横ばいです。こんなことは世界に類例がありません。欧米諸国は20年間でGDPが2倍、中国は20倍にもなっています。
 この間政権を担当していた自民党は、大いに反省しなければならない。
 日本は戦後焼け野原の状態から22~23年で、世界第2位の経済大国にのし上がります。その間、経済は伸び、資産、給料もすごい勢いで伸びました。
 そういう時代の政治の仕事は簡単でした。陳情で皆さんの要求を聞いてあげて、票と政治資金を集めたわけです。基本的に自民党は、バラマキをしたのです。平成以降の不況期にも、こういう流れを断ちきれなかったことに政権交代の最大の原因があったと思います。
 政治がしなくてはいけないことは、「絵を描く」ということです。将来を見すえて、日本の良いところ、伸ばすべき分野、教育等成長の基礎になる大切な分野に投資すべきです。「バラマキ」ではなく「投資」です。企業の言い方では「選択と集中」です。

バラマキから投資へ変える

 日本経済活性化の柱としては、不動産市場の活性化があります。不動産は経済のエネルギーを生み出す基礎です。税制、金融、予算などの政策資源を効果的に配分し、戦略的に投資しなければなりません。
―今日本社会は人口減少・高齢化がトレンドになっていますが、こうした時代の都市計画・インフラ整備はどうあるべきでしょうか。
 高度成長期に建てられた郊外の公団住宅・マンションなどが古くなり、住民も高齢化してきました。今後はバリアフリー化したり、高齢者にふさわしい環境の整った住宅に替えていかなければなりません。
 そのためには、建て替え要件の緩和が必要になります。現状では、みんなが建て替えようと言っているのに、わずか数人が反対すると建て替えが事実上できないなどの不合理な点があり、建て替えがなかなか進んでいないのが実情です。
 しかし、建て替えなど街づくりの変更は、すごい内需が眠っているともいえます。建て替え要件緩和などの改善、非合理な規制の改革が進めば、進んでいくのです。従来の仕組みを自由に変えていく力が必要になりますが、これは役所にはできません。政治が大きな方向を示して、役人を導いていく必要があります。
 東京に六本木ヒルズという建物がありますが、この開発のための権利関係の調整に、6~7年とものすごく時間がかかりました。素晴らしい街を立派につくっても、「この街路樹は基準に合わない」という縦割り行政の許認可の壁にぶつかるわけです。
 六本木ヒルズを開発した森ビルの森稔社長もよく言っていましたが、役所の規制は日本人の構想力を奪っているのです。「特区」で規制を解くやり方もありますが、現場の構想力を活かすような制度改革が必要です。それが政治なのです。
―不動産取引には様々な課題があり、二重課税三重課税との批判があります。さらに消費税の増税が追い打ちをかけます。
 「不動産取引には担税力がある」という考えで税金がつくられてから久しいのだけれど、不動産市場が活性化することによって経済は成長し、税収も増えていきます。不動産取引に関わる税を軽減しても、取引数が増えて税収が増えるという施策に持っていくべきだろうと思います。

住宅への消費税課税は慎重に

 さらに消費税増税ということになると、一気にまた税金が上乗せされるということになり、大きな問題になると思います。税の軽減でカバーしきれないところは、予算で給付することもあるでしょう。十二分に検討しなければなりません。
 住宅は普通の消費材と違って、非常に長期な耐久消費材でありますので、課税には何らかの工夫が必要です。普通の消費材は一回消費したら価値はなくなってしまいます。住宅の場合は長い間価値が残存し、中古市場も形成されます。
 これから、中古住宅の利用が非常に大事になります。人口減少時代に空き家がたくさん出ますので、それをどう活用するか。その場合、リフォームが非常に重要になります。中古住宅の情報を消費者に伝えるあり方をどうするのか、業界としても積極的に対応しないといけません。今後、中古住宅市場の環境整備はとても重要です。

日本人の構想力を解き放つ

 日本人の構想力、着想力、知恵や工夫を自由に解き放って、強靭でしなやかにして、この国を素晴らしいものに変えていく。役人が税金を使って、がんじがらめにしてしまっているというのは、いかにもまずいと思います。
 「政治家は誰がなっても同じ」という人がいますが、それは違います。陳情係であれば誰でもいいでしょう。しかし、それでは足りない。官僚ができない絵を描く能力、見識、信念、価値観があってはじめて政治家です 。政治こそ真剣に人を選ばないと、国が滅ぶのです。
―本日はお忙しいところありがとうございました。

保岡興治氏プロフィール
▼昭和14年5月11日、鹿児島県生まれ。▼昭和39年、中央大学法学部卒業、司法試験に合格。▼昭和47年、衆議院選挙に立候補、初当選。▼自民党副幹事長、法務大臣、自民党司法制度調査会会長などを歴任。▼衆議院議員当選12回。