私の考え

自民党の国民に対する一番大切な反省は何か?

Ⅰ 自民党は国民の批判に応えて一応の反省はしている

 国民の皆様が、自民党に愛想をつかした直接の理由は、年金問題、税金の無駄遣い、公務員の天下り・渡りの問題などなど、国民には納得できない事態が次々におきて、うんざりしたと言う事でしょう。総選挙直後の自民党の反省でも、国民目線の政治姿勢にかけていたとか、あまりに総理がくるくる変わったとか、長年の与党の立場に驕りが生じていたとか総括しています。しかし、私は、このような政権末期に噴出した現象を反省し改めさえすれば、それだけで自民党への信頼や期待がかえってくるとは思えません。もっと深いところで、根本からの反省が語られる必要があると感じています。

 

Ⅱ 歴史上初めて、自分の知恵と力で国の未来の姿を描く自覚に欠けていた

 20年前、東西冷戦構造がなくなり情報化が一気に進み、世界が急激に変わり始めたとき、日本もまた明治以来続いていた「西洋に追いつき追い越せ」を国の目標としていた時代が終りました。平成の時代が始まり、バブルが崩壊した時です。その時こそ、自民党は政権与党として国民に新しい国の目指すべき方向や姿を明確に描いて、国民に強く訴え、強力なリーダーシップで新しい国の建設にスタートを切らなければならなかったと思います。我が国の未来の姿を、他の国に模範を求めるのではなく、歴史上初めて、日本自らの長所や資質、素晴らしい日本の歴史と伝統文化を生かして、新たな時代の国民生活や経済社会を描くものです。これは、正に大転換期における「政治の一番大切な責任」です。自民党は、この歴史的責任を強く自覚せず、新しい国家ビジョンを国民にしめすこともできず、国民と共に新しい時代を切り開く真剣な姿勢とそれを可能にする「本物の政治主導」に欠けていたのだと思います。

 

Ⅲ 日本経済を衰退させ、デフレを克服できなかった自民党の重大な責任

 この20年間、経済規模を示すGDPは500兆円前後で低迷し、世界の経済に占める割合も半分になってしまいました。永く続いたデフレは国や国民の借金に益々厳しく重くのしかかっています。税収も平成元年の60兆円を超える水準から平成22年度には37兆円になり、逆に予算規模は平成元年に70兆円が平成23年度は92兆円を超えて、累積する国・地方の借金は一千兆円に達する勢いです。この間、調査機関によれば、日本の国際的競争力も各分野で大きく後退しています。これはとりもなおさず国の未来の確たるビジョンを示せず、新しい時代に相応しい自己改革を果たせなかった自民党の重大な責任であると思います。 国民が、バブル崩壊と世界の激しい変化の中で、苦しみながら自らの新しい在り方を必死で求めているなかで、自民党は「日本の未来の姿」を描き、それに沿って政府と国民の思い切った投資を促し、断固たる一貫した姿勢でデフレ対策に取組み、国の経済を拡大させ、日本の再生・自己改革を企るべきであったと思います。

 

Ⅳ 自民党は、次の総選挙に根本的な深い反省を明確にした上、力強い公約を掲げよう 
 以上、根本的に自民党が反省すべき点が、即、日本の自己改革が遅々として進まず、国民全体に閉塞感が漂っている状況につながっています。したがってきたるべき総選挙は、単に自民党の政権奪還の選挙というより、「自民党の20年の政治の反省」と「政権交代後の民主党政治の教訓」に基づいて、各政党が、東日本ないし日本の再生をかけた「政権公約」を訴えるものにしなければなりません。

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