2009年5月4日 中日新聞・東京新聞 掲載
国会での憲法論議が完全に膠着(こうちゃく)状態に陥っている。国の基本を定める憲法にどう向き合うかは、政治にとって避けて通れない問題だ。政権選択の衆院選が近づく中、自民党と民主党の憲法論議をリードしてきた二人の論客に聞いた。
自民党衆院議員・保岡興治氏
政権公約に基本観点を
-国民投票法が成立して二年近くになるが、国会の憲法審査会は議事手続きなどの規程が決まらず休眠状態のままだ。
「看板だけを掛けて、中身は決めていない極めて遺憾で異常な状況だ。国会が自ら決めた法律に反する結果を招いている。早急な立ち上げは国会の責任だ」
-野党は「信頼関係が失われている」と。
「国民投票法案の審議は、政局に絡めず与野党が同じ立場で議論して合意寸前までいった。ところが最終局面で政局に絡んでしまい、今も政局国会が続いている。しかし、定められた審査会の設置を阻むのは国民に背を向けることになる。与野党が再び協調してほしい」
-自民党は衆院選マニフェストに憲法改正を盛り込むのか。
「今は大きな時代の変わり目だ。今の危機を乗り越えてどういう国を目指すかというテーマが突き付けられている。衆院選では、国のあるべき形を示す必要がある。憲法に関する基本的な点はマニフェストに位置付けるべきだ」
-マニフェストに書く憲法観は、党内で議論するのか。
「二〇〇五年にまとめた党の新憲法草案を基本にして、しっかり書き込んでほしい」
-憲法は衆院選の争点にしにくいという意見もあるが。
「憲法や安全保障は国の形の基本。責任政党として誠実に訴えるべきだ。海賊対処や北朝鮮の弾道ミサイルなどの問題も出てきている。各党も明確な見解を出すべきだ。一〇年の五月十八日以降、国会議員は法的には改正の発議権を持つ。次の衆院選は、発議権を持つ衆院議員を選ぶ歴史的な選挙。だからこそ憲法改正について、国民にきちんと問いかけるべきだと思う」(聞き手・金杉貴雄)
やすおか・おきはる 中大卒。司法試験に合格し、鹿児島地裁裁判官に。1972年の衆院選で初当選。2000年と08年に法相。03年、党憲法調査会長、07年から党憲法審議会長代理。衆院鹿児島1区。当選11回。69歳。