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| 日本版チャータースクール発足へ |
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「学校教育の個性化・活性化に向けた方策について」 (自由民主党チャータースクール構想等研究グループ報告) 平成11年8月 我が国が今後国際社会の中で発展していくためには、何よりもまず日本人としてのアイデンティティーを確立し、自律性と自己責任を基本とした社会の構築と国民の意識改革を実行し、独創的で活力ある国づくりを進める必要があり、その基礎となる教育改革を断行することが焦眉の急となっている。このような観点から、我が党は先に「教育改革推進の提言」を発表し、各般の改革方策を示したところであるが、特に義務教育については、基礎基本を徹底するとともに、画一化されている制度の改革を図るため選択の拡大を進める必要がある。この点については、「教育改革実施本部義務教育研究グループ」 平成10年3月に発足した「教育改革実施本部チャータースクール構想等研究グループ」は、米国のチャータースクール(参考1)を参考に、教育関係者や有識者のヒアリング等を行い、我が国の学校教育制度との関連などについて研究を行った(参考2)。その結果、我が国の学校教育が抱えている諸問題の解決を図るとともに、学校教育全体を個性化、活性化させるためには、以下のような新しい試みを積極的に学校教育に取り入れる必要があると考える。 1 学校教育における新しい試みの必要性 2002年度から完全学校週5日制の下で新しい教育課程が実施されようとしてい る。新教育課程は基礎・基本を重視した思い切った内容の精選を行い、各学校が 創意工夫を生かし特色ある教育・特色ある学校づくりを目指すものとなっている。 我々は、このような政府の完全学校週5日制の実施に向けた取組を是としつつ も、それぞれの地域の特性やニーズをふまえて、更に一層多様な試みを展開し、 思い切った改革に取組むことが必要と考える。 特に次のような分野については、現在の教育システムで十分対応できていない 諸問題について解決を図る新しい教育内容・方法を開発するため、国の教育課程 の基準に特例を設けて新しい試みを実施する必要がある。これは次期学習指導要 領がめざす特色ある教育の展開、特色ある学校づくりの動きを刺激し、なお一層 促進する意義を併せ有する。 まず,不登校・いじめなどの問題が依然として深刻な状況が続いており、教育 現場の創意工夫も含め関係者の総力を結集して解決を図る必要があるため、特に 公立学校において、最優先の課題として、不登校の傾向をもつ児童生徒、いじめ にあった児童生徒、学習障害児などに対して、その児童生徒の心身の状況等を考 慮した専門的観点からも適当な指導方法による教育に取り組むことが必要である。 次に地域の人材を積極的に活用して、児童生徒に町づくり、職業体験などの地 域や社会の活動に参加する機会を与える、いわゆるプロジェクト学習を中心とし た実体験重視の教育、じっくりと時間をかけて基礎・基本の着実な修得をめざす 教育、児童生徒の興味・関心にこたえて発展的な学習内容に及ぶ教育、あるいは 以上の組合せによるものなども工夫の余地がある。学習集団の編成や学年別カリ キュラムの弾力的運用について研究することも意義がある。 このほか、特に私立学校では、それぞれの教育理念に応じ、全人的教育にも配 慮しつつ、科学・芸術・スポーツ等の特定分野の才能を伸ばす教育を行うものも あってよいと考える。 また、幼・小・中・高の学校間の教育の系統性を強化し、例えば幼稚園と小学 校低学年、小学校高学年と中学校等の教育課程の一体的編成を行うことも、新し い試みの対象として検討に値する。 2 現行制度の運用の改善による新しい試みの内容 @ 新しい研究開発学校制度の活用による教育課程の特例 現在、学校の教育課程については、研究開発学校制度により、文部省の指定を 受けて、学習指導要領によらない教育課程による研究開発を行うことが可能とな っている。 しかしその仕組みは、文部省が課題を定め、都道府県及び国立大学の推薦を得 たものの中から委嘱する方式であった。 今後、地域の特性や学校のニーズを踏まえた一層特色ある教育活動を促すため、 市町村教育委員会、国立大学及び学校法人(以下「市町村教育委員会等」)が主 体的に設定した課題について文部大臣の指定を受けて研究開発を行う新しいタイ プの研究開発学校を導入し、新しい教育課程の研究開発を活発に行う必要がある。 新しいタイプの研究開発学校の実施にあたっては、保護者や地域住民等の要望 等を反映した特色ある教育課程の研究を行う観点から、市町村教育委員会等の責 任の下に、制度の趣旨を踏まえ、関係者の創意工夫を生かせるよう研究開発課題 や実施計画を定めるものとする。 この際、国民の知恵と工夫による提案が積極的になされるよう促すため、モデ ル的提案を広く情報提供するなど制度の運用において工夫したり、研究開発の実 施に伴う経費について、原則として市町村教育委員会等で措置するものとするが、 研究開発の趣旨を生かし、適切な提案が生まれるよう、十分検討の上、必要な援 助を行うなど配慮することが必要である。なお、研究開発の実施に当たっては、選定のための委員会の設置など選定手続 の透明化、自己評価の提案を含めた成果の公平な評価、他の教育関係機関との連 携、地域の人材の非常勤講師等としての積極的な活用に留意するとともに、空き 教室などの利用や、分校・分教室等の設置形態を含め、実施可能な創意工夫をつ くすものとする。 現行の研究開発学校は指定期間を原則として3年としているが、新しい研究開 発学校についても、一定期間内の評価を基に、研究開発の存続について適正に判 断し、結果責任を明確にする必要がある。 A 公立学校の通学区域の弾力的運用 公立学校の通学区域については、我が党の前回提言もあり、相当に弾力的な運用が行われるようになったが、新しい研究開発学校においては、地域の創意を生かした特色ある教育を行う趣旨を生かすため、一層その弾力的運用を進める。 具体的には、教育委員会の判断で、研究開発学校の特性に応じて、これに就学を希望する保護者や生徒の希望を尊重して、市町村の全域など広域の通学区域を設定することができることとする。 B 公立学校については、市町村が自らの判断で、上述した、新しい研究開発学校 を活用するとともに、通学区域の弾力化を組み合わせることにより、創意を生か した教育課程による教育を行う学校を、既存の学校と選択可能なかたちで設置す ることが可能となる。 国立、私立学校についても、新しい研究開発学校を活用することにより、一層 主体的な教育課程の展開が可能になる。私立学校については、従来新しい教育の 展開について先導的役割を担ってきた経緯を踏まえ、新制度によりその役割をさ らに追求できる余地を与え、私学の使命のさらに意義ある進展を期待する。 このような新しい試みが進むことにより、学校教育全体に刺激を与え、次期学 習指導要領がめざす教育の趣旨の実現をも促進し、両者が相俟って新しい学校教 育の動きを創り出していくものである。 国においても両者の実施状況を踏まえ、現行の研究開発学校制度について、さ らなる充実を図る必要がある。 C 新しいタイプの研究開発にあっても、国民教育としての基礎・基本を確保する ことは大前提であり、さらに、受験競争の激化を招かないよう配慮することは当 然のことである。また、宗教的・政治的中立についても確保されなければならな い。このような留意事項については、文部省における指定審査にあたってのガイ ドラインとして明確にしておく必要がある。なお、新制度の名称については、国 民に親しまれる名称を検討するものとする。 3 おわりに 以上に提言した方策は、我が国の現行学校教育制度を前提として可能な限りそ の弾力的な運用を追求することにより、特色ある学校教育を実施することをめざ すものである。これにより、新しい発想の学校教育の試みが各地で行われ、学校 教育の活性化に大きく貢献することを期待したい。 なお、今後、米国のチャータースクールの実状等について調査を深めるととも に、新しい研究開発学校の実施状況や成果等を見極め、必要に応じ、学校教育の 個性化、活性化に向けたさらなる措置について検討すべきである。 (参考1)チャータースクールとは 「チャータースクール」は近時米国において広まりつつある新たな公立初等中 等教育学校である。教員・保護者等の提案により、学区等の特別の認可(チャー ター)を受けて設立され、独自の理念に基づく教育を行うことが認められる反面、 チャーター交付者との契約に定める教育成果を契約期限内に達成しないとチャー ター取消により閉校となる。教員・保護者等の創意工夫を公立学校教育に導入し、 その活性化を図る試みとして注目されている。 (参考2) 研究会の開催記録 第1回 平成11年2月10日 教育ジャーナリスト大沼安史氏からヒアリング 第2回 平成11年2月24日 フリートーキング 第3回 平成11年3月2日 「湘南に新しい公立学校を創り出す会」からヒアリング 第4回 平成11年6月18日 座長試案について協議 第5回 平成11年7月7日 小野全日本教職員連盟事務局長、橋爪社会生産性本部社会政策特別委員会専門委員長他からヒアリング 第6回 平成11年7月8日 石井日本教職員組合教育文化部長他からヒアリング 第7回 平成11年7月13日 安斎全日本中学校長会会長、村越全国連合小学校長会調査研究部長他からヒアリング 第8回 平成11年7月22日 佐々木「湘南に新しい公立学校を創り出す会」会長、教育ジャーナリスト大沼安史氏他からヒアリング 第9回 平成11年7月27日 桐川都道府県教育長協議会幹事、佐々木全国都市教育長協議会会長、本間指定都市教育委員会教育長協議会会長代理、田島全国町村教育長会会長他からヒアリング 第10回 平成11年8月4日 長谷川日本私立小学校連合会会長、田村日本私立中学高等学校連合会常任理事他からヒアリング 第12回 平成11年8月5日 早川NHK解説委員、朝日新聞社会部教育班高橋氏からヒアリング この他、議員有志による勉強会を行い、平成11年7月29日には吉崎ライナス教 育研究所(学習障害児のフリースクール)所長からヒアリングを行った。 |