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平成10年10月 6日
自 由 民 主 党
わが国の金融システムに対する内外からの信頼を回復することが現下の緊急の課題である。このため、金融システム早期健全化対策として、わが国金融システムの不良債権を速やかに処理するとともに、新たな資本増強の制度を創設し、あわせて金融機関の体質強化及び情報開示の充実を図ることとする。これによって、現下の深刻な状況に迅速かつ有効に対処し、金融システムの再構築とわが国経済の再活性化を目指す。
T.法律事項
1.新しい資本増強制度
金融機能早期健全化勘定を設け新たな資本増強制度を創設する。引受対象は普通株式及び優先株式等とし、協定銀行(整理回収機構)が株式等の引受けを行うこととするが、普通株式の引受け対象となるのは著しい過少資本行のみとする。
(注)2001年3月末までの時限措置とする。
(1) 対象金融機関
@ 普通株式の引受け
著しい過少資本行について、申請により普通株式を取得できることとし、適切な公的経営関与が行えるようにする。その際、経営陣の更迭、経営陣の責任解明、減資等による株主責任の明確化、リストラの徹底等を行う。
(注)1) 取得した株式等は早期に処分するものとし、普通株式を50%超引き受けた場合は、原則として1年以内(ただし、1年ごとに2回までの延長可)に持株比率を50%以下に低下させるものとする。
2) 協定銀行(整理回収機構)が普通株式の議決権等を行使しようとするときは、預金保険機構の承認を必要とする。特に、子会社となった金融機関については、預金保険機構の指導又は助言を受けて、経営健全化計画を適確に履行できるよう、その経営管理を行う。
3) 著しい過少資本行の取扱いについてはUの1の通り。
4) 協定銀行は不良債権のみならず、金融システム健全化のための役割も果たすものである。
A 優先株式等の引受け
著しい過少資本行・過少資本行のほか、自己資本比率8%以上の金融機関についても、デフレスパイラルや金融危機回避及び地域経済・雇傭への影響に配慮し、申請により優先株式等の引受け対象とする。その際、原則として、自己資本比率の区分等に応じて、@に準じた厳格な条件を付すこととする。
また、破綻金融機関の受皿となる金融機関及びこれに準ずるものについても、申請により優先株式等の引受け対象とする。
(注)自己資本比率8%以上の優先株式等の引受けは、原則として破綻金融機関の受皿となる金融機関及びそれに準ずるもの、急激かつ大幅な信用収縮の回避のために必須のもの、及び合併等金融再編成の視点から資本増強を余儀なくされるものを対象とする。
[注]なお、「著しい過少資本行」、「過少資本行」の定義は、金融再生委員会規則で定める。
(2) 金融再生委員会による明確かつ厳格な株式等の引受けの承認基準の策定・公表
株式等の引受けを金融再生委員会が承認するための、リストラ、経営責任、株主責任、合併等の取扱い等を明確かつ厳格に定めた承認基準を策定・公表するよう義務づける。
(注)1) 承認に当たっては、自己資本比率のみならず、他の財務状況に関する指標(株主資本利益率、流動性比率等)や貸出状況を総合勘案して判断する。
2) 承認に当たっては、リストラ、経営責任、株主責任等の取り扱いを含む経営健全化計画の提出・履行を求めるとともに、これを公表し、更にその履行状況については定期的に報告を求め、原則としてこれを公表する。
(3) 減資手続きにおける債権者保護手続の特例
株主責任明確化の環境整備として、減資を行う場合に、商法に規定する債権者保護手続(債権者の異議のための催告等)を不要とする特例を設ける。
(4) 財源
金融機能早期健全化勘定においては日銀借入等を活用し、その際、政府保証を可能とする。なお、この資金は金融システム健全化のために用いるものであり、回収可能な資金である。
2.一般金融機関からの不良債権の買取り等
(1) 対象金融機関
一般金融機関。金融再生委員会が不良債権の買取りを承認するための承認基準を策定・公表するよう義務付ける。
(2) 買い取りの期限
2001年3月末まで
(3) 買取り価格
適正な価格
(4) 回収委託
上記の金融機関のほか、共同債権買取機構(CCPC)からの回収委託を受けることを可能とする。
U.法律改正を伴わない事項(既存制度の運用)
1.早期是正措置の強化
金融監督庁の認定により、厳格なリストラ等を命ずるとともに、著しい過少資本行に対して、以下のような資本再構築(増強)命令を行う。
(1) 自己資本比率4%未満(国内行2%未満)の著しい過少資本行には、一定の期限を限って必要な自己資本の再構築(増強)を行うための措置を採ることを命ずるものとする。
(2) 特に、自己資本比率2%未満(国内行2%未満)の著しい過少資本行に関しては、迅速な手当てを行う必要があるため、速やかな資本増強を命ずるものとする。当該行は、この命令を受け、増資、合併・営業譲渡、又は大規模な業務縮小・自主廃業を選択し、実施しなければならない。
(注)1) 自己資本比率の具体的な計数は、省令事項。また、自己資本比率の計算方法(告示事項)を定めるにあたっては、貸し渋りへの影響に十分配慮するものとし、有価証券の評価に係る原価法、低価法の選択制は維持するが金融システム不安の解消時にそのあり方を検討する。
2) ただし、金融再生委員会の判断により特別公的管理に入ることもありうる。
営業を継続させない方が全体として円滑に事態が処理できると考えられる場合には、業務の停止を命じ、清算に移行させることもありうる。
2.検査・モニタリングの強化等
金融監督庁は、以下のような措置を講ずる。
(1) 検査結果を踏まえ、V分類の債権について引当ガイドラインを策定し公表するとともに、U分類債権については、細分化、引当のあり方について早急に検討する。
(2) 自己資本比率8%未満の金融機関に経営・業務改善計画とそのスケジュールを提出させ、不良債権処理や、リストラ計画等の実行状況を厳格にフォローアップする。
(3) 金融機関の経営状況についてのモニタリング・システムを構築し、常時監視体制を確立する。(銀行法に規定する、報告又は資料の提出、経営健全性確保のための改善計画の提出等の適確な運用)
3.経営陣の民事・刑事上の責任解明のための業務改善命令
自己資本を毀損するに至った経緯や原因、並びに経営者の民事・刑事上の責任解明のため、金融監督庁は、銀行法第26条に基づく業務改善命令により、公的資金による資本注入を受ける差自己資本比率4%未満(国内行2%未満)の著しい過少資本行(受皿金融機関を除く)に対し、弁護士等第三者で構成される委員会を設置し、同委員会において調査し、所要の措置を講ずることを命ずることとする。
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