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首相公選制と議院内閣制
なぜ今、首相公選制が話題となっているのか?

国民の間にある不満最近の世論調査等で「総理大臣にふさわしい人が総理にならない。」、「政党政治に不満、自分達の声が政治に反映されない。」という意見が多く、国民の首相公選制に対する肯定的意見は半数を超える。国会議員の半数ぐらいも賛成という調査結果もある。これは、現在の政治家自身の資質を問うということを超え、既存の政治体制では改革はできないとあきらめて、一気に政治体制を変えて欲しいという願望の現れと思われる。
なぜ国民はそのように感じているのか。
長引く不景気、少子高齢社会の到来、巨額な財政赤字など国民は将来に対する不安を抱いているにもかかわらず、政治は将来の明確なビジョンや方向性を示せず、あいも変わらず派閥談合で、総理を決め、しかもその総理に対する信頼性は非常に低い。政治と国民の意識と間にギャップがある。
国民は政治に何を期待しているのか。
力強いリーダーシップのある政治。明確なビジョンと目的に達するまでのそのステップ(スケジュール)を見せて欲しい。

それでは、国民の期待に応える政治制度は何か。

@ なぜ現状の制度では、国民の期待に応えられていないのか。
1:政党政治が機能していない?(自民党の体質の問題)
  組織依存、地方と都会の意識のギャップ、陳情処理型・官僚丸投げ政策の限界
2:議院内閣制が機能していない?
   本来、議会多数を持つ与党が内閣を構成している以上は、強力に政策を推進できるはず。それができないは、真の「政府・与党一体化」が進んでいないのでないか。イギリスでは、党内実力者は必ず政府の要職につく。例えば、各党党首、政調会長は入閣し、与党と一体となって、政策を推進するのが、本当の一体化ではないのか。この例に倣えば、新設の政務官は党の部会長を兼務して、政府提案の法律等を与党に説明するのが、良いのではないか。現状では、与党と政府が別々な行動基準で、政策を遂行し、与党の「良いとこ取り」となっていて、政策の総合性、整合性、戦略性がないのではないか。
3:選挙制度が機能していない?
小選挙区・比例代表制では、小党が乱立し、小さな政党がキャスティングボードを握り、本当の二大政党制にならないのではないか。中選挙区制復活の声もある。

中選挙区制:

メリット
「部分的な利益を代表するが、結果として選挙区の多くの部分の声を政治に反映できる。新人が立候補しやすい。専門性のある政策を訴えることができる。」
デメリット「与党、野党ともある一定の当選者を確保するため、政権交代が起こりにくい。族議員を生みやすく、政党より派閥に忠誠を誓う議員が増える。」

小選挙区:

メリット「政権交代が容易。立候補者は全分野についての政策を訴えなくてはならず、政党の掲げる政策を遂行することとなる。結果的に政党が選挙を指揮することとなり、政党政治が機能する。政党同士が戦うため、党首の顔が選挙の顔となり、有権者は選挙を通じて、首相を選ぶこととなる。(間接的首相公選制)」
デメリット「比例代表もあり、小党が乱立し、彼らがキャスティングボードを握る。選挙において死票が多い。ほとんど全ての政策を訴えるため、候補者に違いがない。」

Aそれでは、首相公選制は本当に国民の期待に応えることが可能なのか?
首相公選制の論点(詳細は別紙参照)
中曽根試案の概要:象徴天皇制下の首相公選制(米国型の三権分立)天皇が元首。各政党から候補者を選び、副首相候補者と共に衆議院解散時に同時に公選する。国会議員は大臣になれない。(大臣になる場合は議員を辞職する)。任期は4年。連続再選は禁止。国民にリコール権。首相に法案拒否権。国会は2院制。内閣は国会に連帯責任はない。

メリット
任期が長く長期の国家戦略を作成し、推進できる。派閥等の政争に惑わされることはなく、首相の人事権が発揮できる。最低4年間は任務に没頭できる。 
デメリット
国会議員がますます矮小化し、族議員化する。人気投票になり、総理の資質がない人物が選ばれる可能性がある。議会との一体性がないため、大きな改革ができない。(米国の例)
☆最大の問題
公選された首相を支持する政党が国会で過半数を取れない場合、または、政府方針と国会の意思が対立した場合にはデットロックに陥る。その時はどうするのか?

* 参考
@ 国民の首相リコール権、首相の法案等の拒否権:中曽根試案・大統領型
A 首相の国会解散権(同時に首相も公選)、国会の首相不信任提出権(同時に国会のも解散)、特別選挙(首相の辞任などで、首相公選を単独で実施・別紙記事参照):イスラエル「首相・議会制(Premier-Parliamentary System)」

議院内閣制・政党政治の改革と首相公選制の比較 現状改革(現状制度の改革で、国民の期待に応えることができる。)
@ 今回の行政改革、官邸機能の強化、内閣法の改正により、総理大臣がその気になれば、様々なことができる。さらに必要であれば、内閣法等を改正することで可能。
A 有能な人材を閣僚に採用する。閣僚の任期を総理と一緒にする。
B 真の政府・与党一体化を図る。(政策の総合性、整合性・戦略性の確保)
C 総裁選挙の活性化・透明化。
D 各選挙区での立候補者の予備選実施など。(政治参加意識の向上)
E メディア対策を重要視し、国民に政府の政策が明確に伝わるようにする。(欧米のように専門報道官の活用など)
F 総選挙を実質的に次期首相を選ぶ選挙とする。

首相公選制の導入(革命的な制度改革で、日本を一気に改革する。)
@ 憲法を改正(関連30条文以上を改正)。
A 米国と同じように長い選挙運動期間を掛け、国民にじっくり選んでもらう。
B 強いリーダーシップで、国民との距離感を近づける。
C 有能な人材を思う存分登用する。
D 長期戦略を策定する。


補足
現状の制度においても、政党(特に自民党)が上記のような改革ができないのは、政権交代がないからと推測される。だからこそ、派閥順送り人事が短期間のうちに何度も行われ、国民から見たら誰が何をやっているのか明確でなく、政治に距離感を感じ、政党政治に不信を持つようになっているのではないかと思われる。これまでのように常に政権にあれば、(部会長代理→部会長→政務次官→常任委員長→国対・議運又は党政策審議会委員、総務、副幹事長等→大臣→調査会長等→大臣→党の要職等)というシステムは、官庁と政党と国会の間をローテーションする非常にうまく構築された人事システムで、55年体制下では効率良く機能したと思われる。この制度は、常に権力を行使する立場を保証されている官僚機構に似ている。自民党も当選回数、党への貢献度、年齢、派閥の力学などを基準にほとんどの議員がいつかは大臣になり、満足できるシステムとなっている。官僚も入省年次、卒業大学、政治力、能力等で1年から2年ことに部署内をローテーションしているので、あらゆる業務に精通した官 僚を作るのに適した人事制度といえる。したがって、例え首相や大臣の任期が短くても、自民党の族議員の人事ローテーションを安定した官僚システムが支えてきたために、行政の継続性や政策の整合性が一応保たれてきた。その結果、政策を官僚に丸投げして、立法府にいる者として中長期的視点から政策を考える姿勢を失い、自民党が国民が納得できるような明確なビジョンを示せず、目前の懸案事項を何とか処理するだけに追われているが現状であろう。 しかし、政治の強いリーダーシップが必要とされている現在、経済政策をはじめとする様々な施策を遂行するためには、「正しい政治主導が目に見えてわかる大胆な党改革・人事システムの変更をやらなければ、国民から自民党は見放される。」という認識をどれだけの自民党議員が持っているか改めて問わなければならないと思われる。一方、客観的視点に立てば、「政権交代が起きない限り、大胆な改革はできない。」と言えるかもしれない。その場合、提言としては現状の議院内閣制を強化し、選挙制度をこれまで以上により首相を選ぶ選挙にするという「完全小選挙区制度」を提唱することも一案と考えられる。