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最近の憲法問題に関する様々な主張:アウトライン
宮田義二・松下政経塾塾長
「日本は今こそ自立すべき」:
〜地域から日本を変える〜より1996・3
戦争放棄を謳った日本国憲法は世界に誇る平和憲法だと言われるが、現在の国際情勢を踏まえると非武装=平和という発想は現実的でなく、日米安保条約も現状では片務協定である。現憲法は歴史と文化に立脚し、自立した国家として歩むための宣言とは言えない。日本が主体性を持った国家運営をし、アジアをはじめ世界に期待される責務を果たすために、自由主義、主権在民、基本的人権の尊重を三大原則にした、新たな憲法を制定することを議論し、再出発する時期が来ていると思われる。その議論の中で、国民投票制度の立法化や首相公選制の採用も考慮すべきである。

加藤三郎・環境文明研究所所長
「環境社会創造の条件」1998
現行憲法には環境問題が発生する以前に制定されたものであるため、「環境」について全く触れられていない。人間の生存に関わる「経済」と「環境」を調整する規定がない。諸外国の憲法では「環境」が位置づけられている例も多い。21世紀は「環境の世紀」といわれ、日本国憲法にも「環境」条項を記すことが重要である。憲法改正議論はタブー視されてきたが、現憲法は不磨の大典ではない。地球環境の崩壊現象はもう始まっている。

野口義之・野村総研前ワシントン支店長
「ワシントンから見た日本の政治状況」
〜知的資産創造〜より1996/10 改憲論として以下の6つの問題定義を米国と比較しながらする。
1) 財政政策:内閣に予算提出権があるとされるが、国会からも財政の主導権闘争がしかれられてもよいのではないか。
2) 国政調査権:国政調査権を強化するため、国会独自の専門的・技術的知識の基盤を構築することが急務。
3) 議院内閣制:政治的予見性を高めるためには定期的な選挙が望ましい。
4) 地方分権:94条の条例制定権を利用し、地方財政・地方議会
の改革を論議すべき。
5) 知る権利と情報公開:米国では国民の行政情報へのクセスが明文化された。
6) 1票の価値:国勢調査の結果により、自動的に定数配分が決まる仕組み考慮すべき。
憲法改正:米国では憲法改正に両院の3分の2以上の賛成の他、全州の4分の3以上の州議会での批准が必要とされるので日本の方が制度上迅速に改正できるはず。米国の政策論議は憲法修正の形で定義される議論が、格好の政策対立軸を形成している。


小林節・慶応大学教授
「憲法守って国滅ぶ」1992年
1:新時代の天皇制
  天皇が君主規定。国旗国家の公認。皇室財産の完全国有化。男女平等の皇位継承。国  事行為に大喪の礼等の儀式の追加。
2:次の時代の人権を憲法に
  環境権、プライバシーの権利、名誉権、知る権利、平和的生存権、嫌煙権の明記。外国人の人権教授限界規定。公務員の一部人権制限規定。在監者の人権侵害予防規定。障害者の人権保障規定。14条の平等原則の包括規定。歴史的・構造的差別是正のため優先処遇規定。政教分離問題は目的・効果基準を適用する。大学自治は教授団の自治と規定する。行政過程における法的適正手続きの保障。罪刑法定主義の明記。29条の「正当な補償」を「相当な保障」に改める。憲法が私人間の法律関係にも適用される旨規定する。
3:今こそ自らに問う平和の意味(9条)
  侵略戦争放棄と自衛戦争の容認、自衛軍の保持と国連の要請に基づく出動可能な形にする。国防の義務、良心的兵役拒否の保障、非常事態に関する規定を設ける。現役・退役後と問わず、軍人は国務大臣になれないよう規定する。
4:政治改革を憲法から考える
  議員定数均衡のための第3者機関設置。参議院の一定の優越権と職能代表院、元老院、地域代表院の構想も検討する。国会が国権の最高機関という文言は改める。総理受難時の継承順位を定める。衆議院解散権の主体明記と乱用防止規定の設置。独立行政委員会に憲法上の根拠を与える。政党に関する規定設置。統治行為論の明文化。違憲判決の効力を明確化。地方自治の本旨を容易化する。法律と条令の優劣関係の明確化。
5:今日のさまざまな問題について
  公金支出禁止から私学助成を除外。教育は民主行政の原則に従い、教科書検定は検閲にあたらないと規定する。憲法と条約の優劣関係の明確化。民主主義・平和主義・人権尊重主義の三大原則は改正できないと明記する。国民の憲法尊重義務を明記する。

北岡伸一・東京大学教授
「憲法九条の呪縛から抜け出すとき」1993
9条1項の国連憲章の原則と同趣旨の規定と2項の非軍事主義は相矛盾し、2項は削除するか修正すべきである。日本は集団的自衛権を保持しているが、憲法上行使できないという解釈は奇妙であり、憲法には集団的自衛権行使の禁止規定はない。集団的自衛権の行使の定義において、戦時の状態は多様で、武力行使と一体であるか否かという分類は困難である。集団的自衛権を行使できないと言う解釈をするにしても、武力行使以外の後方支援は全面的に行う方針を示すべきであろう。日米安保条約は片務的であり双務的に変更すべきである。

竹花光範・駒沢大学教授
「憲法改正論への招待」1997
前文:自由と平等、権利と義務の間のバランスがとられるよう明記すべきである。
天皇:天皇の元首規定の明記。非常事態宣言の布告や皇室儀式などを天皇の行為とする。
国民の権利義務:財産権には義務が包含されると規定し、環境権・知る権利・プライバシーの権利を盛り、国の防衛義務、自然や文化財の保護義務を追加すべき。
国会:一院制にする。任期は5年。常会を年2回とする。
内閣:法律案や憲法改正案の提出権限の明記。内閣不信任案提出権の乱用防止規定、首相が欠けた場合の規定も必要。
裁判所:最高裁判事は先行委員の推薦に基づき内閣が任命すし、国民審査制度は廃止。
憲法裁判所:憲法裁判所の新設する。
財政:緊急財政処分制度、継続費、予算不成立の場合の規定を設ける。公金支出禁止は宗教団体に限定すべき。
地方自治:92条を国と地方公共団体とは共同して住民の福祉の増進に努めると規定する。
外交・防衛:国際法上違法な戦争を否定し、国際協力のため、自衛軍を保持すると明記。
最高法規:国家・国家・国語・元号についても定める。
憲法改正:憲法改正の発案権を3分の1以上の国家議員並びに内閣にあることを明記し、3分の2以上の多数を得たときは国民投票を行わないこととすべきである。

西部邁・元東大教授
「日本国憲法・改正私案」1990・9
前文:憲法制定の主体を憲法制定議会とする。実在する人々を「市民」とし、仮想の集合体を「国民」とする。主権は国民にあり、市民はそれに服するとする。国際協調主義を考慮しつつも自国の権利を優越させる権力を保持すべき。
天皇:文化的元首とする。皇位継承は皇室の習慣に委ねる。国事行為は祭事にとどまると明記する。
国防:自衛軍を保持し、国際紛争解決の手段しての戦争も認めるべき。
基本的自由及び基本的責任:日本の伝統精神に根ざす根本規定によって許される市民の行為を「基本的自由」として規定する。権利思想の肥大化防止のため「基本的責任」を明記する。法治主義の原則を明示する。平等規定は「個人の能力によるほかは」差別されないとすべき。奴隷的拘束禁止条文は不要。思想・良心の自由は表現活動の自由で足りる。宗教団体の政治活動は禁止すべきでない。表現活動の自由は公共の福祉とプライバシーを守る責任のもとにあるとすべき。健康的かつ文化的な生活を営むことは権利でない。勤労の権利と義務規定を止め、政府に雇用政策に努力すると規定すればよい。
改正:改正の発議は内閣が行うとするべき。改正できるのは第四章の「国会」から第九章の「改正」までである。その他については憲法制定会議において制定すべき。

木村睦男先生(元参議院議員)
新しい憲法をつくる研究会会長

解釈改憲をやめ自主憲法を制定すべき。

西修・駒沢大学教授
現憲法は我が国が戦後の発展の中で果たした役割は大きい。しかし、時代が変化し、必要なものは残しても、時代に合わないものは改正するのが民主主義国家である。諸外国ではな度も改正している。

吉原恒雄・広島女子大学教授
議会制民主主義国家にも非常事態法制が必要。憲法にも法律にも非常事態に対する何ら措置も予定もしない国は、一見立憲主義の原則に忠実であるかのごとく見えて、実はその反対物に転落する危険性を含む。

桜井よしこ・ジャーナリスト(雑誌上で憲法問題を提起している)
日本国憲法を取り巻く状況や事実を見つめる。9条が象徴する非現実的な安全保障論議。知る権利の明記。環境権を明記。行政権は内閣にあり官僚にあるのではない。私学助成金は違憲。責任と義務に関する規定がない。憲法は国造りの基本であると認識していた明治の先達は20年かけて日本独自の憲法を作った。

小沢一郎・自由党党首
前文はシンプルに。天皇は日本の元首。9条に第3項を設け、自衛のための軍隊を保持すること規定する。国際平和のために貢献する規定を設けるべき。国連常備軍の創設にも努力すべき。公共の福祉に関する規定を独立させる。幸福追求権を規定する。参議院の選挙をやめ名誉職的参議院議員とし身分は終身とする。内閣の超法規的措置を防ぐため、緊急事態に対する規定を設ける。憲法裁判所を創設する。首相公選制は天皇制と矛盾する。憲法改正の発議を全議員の2分の1にすべき。

鳩山由起夫・民主党党首
9条に陸海空軍を保持すると明記すべき。環境権と知る権利も必要。首相公選制を導入すべき。

愛知和男・衆議院議員
前文に異なる文化や価値観を持った人々が共生する社会を目指し、地球環境問題の取組み方も明記すべき。国際的安全保障の枠組みの中に日本を位置付け、世界の軍縮に貢献できるよう安全保障秩序の維持に必要な軍事力の保持を明確化。地球安全保障の概念の導入。武力行使組織への貢献も含めた国際参画を明記する。思想の自由と行動の自由を明記。人格権と環境権を創設。